<いじめ>半年で14万件 昨年度の倍 文科省全国調査

2012年11月23日 10:04

毎日新聞 11月23日(金)9時4分配信

<いじめ>半年で14万件 昨年度の倍 文科省全国調査
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中学校におけるいじめの態様

 文部科学省は22日、全国の小中高校などで、今年4月から約半年間に認知したいじめが14万4054件に達したと発表した。昨年度1年間の7万231件の2倍で、過去最高だった1985年度の15万5066件に半年で迫る数字。子供の生命や安全が脅かされる可能性のある「重大ないじめ」は278件だった。都道府県で件数に大きな開きがあり、いじめの捉え方など実態把握の方法に課題が残る調査になった。同省は「重大ないじめ」は把握次第、報告することをルール化する。

【グラフで見る】いじめの認知(発生)件数の推移

 大津市立中2年の男子生徒(当時13歳)の自殺問題を受け、8~9月に全国の国公私立の小中高校と特別支援学校に緊急調査した。

 認知件数は小学校8万8132件(11年度3万3124件)▽中学校4万2751件(同3万749件)▽高校1万2574件(同6020件)▽特別支援学校597件(同338件)。全体の8割にあたる計11万3701件が既に解決したとされる。

 急増について、同省児童生徒課の担当者は「教員の意識が高まり、仲たがいやけんかの後の意地悪もいじめと捉えたり、学校が生徒アンケートを無記名式にするなど、いじめを見つける工夫をしたため」と分析している。

 国公立の小中高と特別支援学校3万5968校を対象に、初めて「重大ないじめ」の報告を求めたところ、小学校62件▽中学校170件▽高校41件▽特別支援学校5件があり、同省は全件の状況を確認。暴力を受け自殺をほのめかした小学生男子▽繰り返し暴言を受け手首を切った中学生--などで、約4割が傷害など警察に通報すべき事案だったという。文科省は「子供に与える影響が大きい」として都道府県ごとの件数を出していないが、最多県で約30件、14県はゼロとばらつきがある。278件の大半が対応が済んでいるとしている。

 都道府県別では、鹿児島県が3万877件で昨年度の395件から半年で約78倍に激増。1000人当たりの件数は、最少が福岡県の1件で、最多は鹿児島県の159.5件と大きな開きがある。【石丸整】

 ◇いじめ緊急調査の1000人あたり件数の多い府県と少ない県

都道府県 1000人あたり件数    総数 増加率(倍)

<1>鹿児島  159.5  30,877  78.2

<2>奈 良  43.0    6,781  23.6

<3>宮 城  37.6    9,579   5.6

<4>京 都  31.0    8,748  18.9

<5>山 梨  25.5    2,547   4.3

<6>千 葉  24.2   15,793   2.1

<7>熊 本  17.8    3,649   0.5

<42>埼 玉   1.7   1,330   0.9

<43>福 島   1.5     324   1.9

<43>滋 賀   1.5     260   1.1

<43>香 川   1.5     168   0.5

<46>佐 賀   1.3     132   1.9

<47>福 岡   1.0     540   0.8

   (平均)  10.4           2.1

※増加率は11年度(1年間)との比較